気楽なところで、一生懸命…と言うことです。

本日は酒呑みのお噂と、少し思い出噺を。

当代、記念日と言うものは公に続々と制定されておりまして、
10月1日は、様々な記念日が絡み合う…
うーん、これは「ゲンの良い日」と謳ってしまってよろしいのか…
古来から続く暦などのゲンにちなむものか…と言うと、
得てして、ご商売の流れの中にあったりなんかして、
一様に…とは言わないんでしょうね。ええ。

「お酒を飲むにつけても理由を求める」…なんて言うものが、
人間の性とも申しますくらいで、
記念日、祝い事はとかく心持ちの良いもので。

だので、「日本酒の日」ならば、
ちょっとは思い入れのあるお飲み物をお召し上がりになると良かろう…なんてんで。

それでも週に1杯、日本酒を嗜まれる方が増えたなら、良いですよね。

自分の場合は、このお酒を今年は選びました。
「この日に飲もう」と決めていました。開封する決意をした日から。

信州中野・岩清水「理(ことわり)」蔵付き自然酵母仕込み、袋吊り無濾過本生を。
松本市波田にあります「深澤酒店」さんのプライベートボトル。
平成26年4月に発売されたファーストロットを、冷蔵庫でずっと保存しておりました。
「いつか」と思って。大切に。

そんな「深澤酒店」さん、先月の9月30日に惜しまれながら閉店を迎えました。

いやあ、これは大きいです。
取り扱いのために条件が厳しい「王禄」があり、
「梵」「八海山・金剛心」なども扱っていて、
信州の日本酒も粒揃い、とにかく良いお酒を手に入れられる酒屋さんでした。
乗鞍の温泉に出掛ける際など、ちょいちょいと立ち寄ったりなんかして。
ビールも店主殿が気に入ったものを置き、
ワインも…自分はワインについては詳しくないから、
確かには言えないけれど、セラーも持ち、安価なものから様々取り揃えておいでで。

店主殿は、とても楽しそうにお酒についてお話してくださいました。
特に信州中野「岩清水」については、本当に…本当に昔から取り扱っていて、
…と言っても現杜氏である小古井宗一さんの造りになり、
その奮闘ぶり、年々良くなって行く酒質、美味しさに未来を感じ、
もちろん商売人なんですから、商いにも大いに可能性を感じたのでしょう。
カウンターを店の真ん中に、
左に王禄、右に信州の地酒と言う冷蔵庫の中、
右側、いちばん左上に「岩清水」シリーズを据えて熱心に勧めておいででした。

自分の場合は、信州中野市に直接買いに行ってしまうことも多かったけれど、
でも、地元、松本平で「岩清水」を買い求められると言う利便性は、
たまらなく有難かったし、岩清水のファンとして同志と言うか…
美味しいものを共有している人がいると感じられて、とても嬉しかったんです。

ある日、有給休暇を取って医者の定期健診などを経て、
ついでに深澤酒店に出掛けてみると、
中野市で見た気がする車が停まっていて…
たまたまお見えになっていた小古井杜氏とお会いした事もありましたし、
銘酒居酒屋「よよぎ」がお店を閉じられた後、
偶然に、大将にお会いしたのも「深澤酒店」でしたね。
良いものを扱うから、人が良いものを求めて訪れる…そんなカタチで。

チャキチャキとした威勢の良い雰囲気の店主殿で、
ハッキリと物事を仰いますから、
こう…何と言うのか…オブラートに包みまくると、
かえって分かり難いかも知れませんので、感じてもらえると助かりますが、
気の小さい、けれど自尊心だけは強いタイプの方は、
聞きかじった知識などで見栄を張ってもダメだったお店だったろうな、と思います。
とにかく一生懸命で、熱意があって…だからこそ、
んー…言葉が適切か悩みますが、「来客に良い意味で厳しい」お店でした。
その厳しさは、つまり正しいことで、優しいことなんです。
伝われ!正しく伝わって!このニュアンス。
あの店主殿を知る方なら分かるはずだ!
間違いをちゃんと間違いと教えてくれる、
美味しさを、蔵の取り組みを、心意気を正しく熱意を持って伝えようとするから、
信頼を得て行った店主殿の姿を知っていれば、きっと伝わるはずだ!!

でも、そんな店主殿でも、
「長野酒メッセ」…僕はもう行くことはないだろうけれど、
最後に出掛けた時だったか、
とても楽しそうに、キャッキャッと様々な蔵元さんとお話をし、
日本酒の多様さを、その年の出来を確認されている姿は、とても微笑ましいものでした。

お店を閉じられた次の日が「日本酒の日」って言うのは、何だか皮肉が利いているような。
いや、売る側から売られる側になって元年だから良いのかも?
きっと、これからも日本酒を応援して行くだろうと思います。
だから、この契機が良いものであると思いたいですね。



例によって、Twitterにメモを取りながら当日は楽しんでいました。
それをTwitterやFacebookでご覧になって頂いた方もいらっしゃると思うので、
まず、総括から。

王禄さんだけでなく各蔵元さんが冷蔵保存の必要性と熟成の関係を謳い、
「岩清水」蔵も氷温保存を厳にしていて、その効果を実感する体験でした。
春先の引っ越しからこの方、ストックしていたお酒を順次開封する日々ですが、
その中でも抜群に「岩清水・理」は状態が良かった。
「これだけは」と取りおいた自分を誉めたくなったほど。
(実は伍醇も、ほぼ冷蔵状態で維持していたものがあるのだが)

それほどに暗所とは言え、クローゼットにしまいこんだ日本酒の、
旬を外してしまった味わいに後悔を抱いているし、
むしろ今の段階で開栓しただけでも良かった、まだ間に合った…と、
そんな風に思うお酒がとても多いのです。
冷蔵庫にしまい続けていられたら良いのでしょうけれど、
「集める」ことに傾倒してしまうと、
投資投機目的ならいざ知らず、最終的に飲むことが目的ならば、
どこかで区切りをつけるべきだ…
ウイスキーにしてもワインにしても、それぞれの適正な保存が出来ているか否かで。

…おっと噺が遠退き始めたか。

とにかく「岩清水」の小古井宗一杜氏から得られる情報は、
自分にとっては、とても貴重なものが多く、
この「氷温貯蔵」、冷蔵貯蔵に関わる味わいの意味は、
知っていたつもりだったけれど、この数ヶ月間で、
更に実体験として学ぶに至っています。

平成26年の醸造。
その後にも「理」は発売されていたのかなぁ…どうだろう。
近年は「ごわりんご、にわりんご」、「MARS、EARTH、JUPITER」のシリーズで、
「岩清水」蔵は大躍進していますよね。それは名実ともに。

今の味わいに通じる部分が「理」の中には、もう始まっていて、
もしかすると、その当時には小古井杜氏の中にあった目指すもの、
目指す酒質が「理」にも一滴入魂の魂の部分が込められていて、
おおよそ5年後にあっても発現している…と言うことなのかな、と。
特有のスイートさと酸味の調和感。
これが確かにあって、たまらなく美味しかった。
「ああ、小古井さんの醸造だな」と感じられる。
…と、同時に深澤さんへの感謝も、こうした思い出も去来する、
1本限りの味わいでした。

当日のメモを以下、コピペ。

(開封して飲む前、注いで匂いだけ試す)

すごいな、これは。平成26年4月か。
開封後の匂いが、王禄や奈良萬の中垂れ生、十四代本丸の燗の匂いに似ている。
ココア系の熟成ではなく麦を香ばしくした様な系統の温かく太く穏やかに強い香。
飲んでみても、そのまま美味しい。
冷蔵保存が効いているんだ。綺麗な経過を辿ってくれていたんだな。

(これまでの熟成酒にならい、お燗にする)
うわ、うまぁ!?お燗してみた。何これ、ジューシーですらある!
厚味すごい!ホイップクリームみたいな、バニラやニッキのニュアンスもなくはない!
甘味の強さ、太さが抜群に大きくて、甘酒を想像する部分も。
それをかなり洗練した感じ。
今のマーズ、アースに通じるふくらみの豊かさがあって、
凄まじい柔らかさと滑らかさで満たしてくれる。
わぁ、これは驚いた。日本酒って美味しいなぁ!
こんなに美味しい世界観だったっけって、知っていたのに感動する美味しさ!
くどさはない。強力に甘いんだけど、
自然に抜けて行く、満ち足りて蕩々と…。

…と。
冷温時もキリッとした酸の強さが生きていて美味しい。



今年は山屋さんでもお別れがあって、
松本の日本酒界隈としては、寂しい出来事が重なりました。
嬉しいニュースばかりが…世の中はそうも行かないと分かっているからこそ、
そうあることを願いたいと言うか…。
しばらく山屋さんにも出掛けていないけれど、行ったら居ると思っちゃうし、
深澤酒店さんだってそうです。「何か面白いものあるかな」って…
そもそも竜島温泉に出掛ける事が多い僕らは、通る度に必ず思い出すことでしょう。
会う機会は、なかなか難しくなるでしょうけれど、
きっと「岩清水ファン」として、どこかでまたご縁が出来るんじゃないかな。


深澤酒店は思い出になって行くけれど、「岩清水」は、更に前へ前へと進んでいる。

< 2019年10>
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SOJA
SOJA
気楽なところで、一生懸命…と言うことです。

平日、出来るだけ更新でやってみたいと存じます。

書道とかお酒とか、温泉、ランニング、ラーメン、街のうまいモン…
色々と色々に。
ご興味ない日もあるかと思います。毎日、見なくても良いと思うんです。

たまに見て頂いて、色んな事やってンな…と、
「今度は何してんだろうな」って思ってもらえたら幸いで。

「酒 宗夜」の新しい道を繋いで、いざ、行きます。

written by SAKESOJA (宗風)