君は革命の御旗を揚げた。
2021/04/13
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語り尽くせぬ思いがあったし、語り尽くせぬ思いを受けた。
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えー…
本当に、こうして言の葉に残しておくべきだと思うんですね。
忘れないけれど、いつか薄れて行くものですから、
出来るだけ色濃く伝えて行きたい、語り継いで行きたい。
えー…気楽なところで一生懸命…と言うことですが。
本日は、酒屋に一生を捧げ旅立った齋藤さんへの一席を申し上げます。
ご縁のございます方は、是非お付き合いを願っておきます。
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2021年2月、そう…
思い起こせば年末くらいから体調が悪くて。
痛い部分もあるし人間ドックの結果にも気になる所があるし。
一旦入院したりもしたし、
目がGVHD由来で更に悪くなっていたし、
理由はいくらでもあったんだろうけれど、
これまでも病気と付き合いながらなんとかやって来ていて、
今回も不撓不屈、また立ち上がるんだろうし、
立ち上がったらお酒を注文したいと思っていたし。
2月の投稿には透析の文言もあって、「やばいな」とは思っていて。
音沙汰がないままに4月に入ってお母さまより訃報の便りがある旨、
関係各所にはがきが届いたのだそうだ。
自分は個人だったし、年に数回の取引だったので、特にはがきはなかったけれど、
Twitter経由で知ることが出来ました。
お母さまのご苦労、悲しみ、筆舌に尽くしがたいものがあると思います。
心から哀悼の意を表します。
それを知った日に、
白血病の闘病からオリンピックへの出場権を獲得した、
池江璃花子選手の復活劇を見、
自分が見たかった景色は、こう言った景色だったろう、
まだ早い、まだまだ続いて欲しい、
齋藤さんが開拓して行く日本酒の世界を、
まさに「革命君」と御旗を立てて、
その下に集まり、日本酒の世界の未来を共に歩んで行くんだと、
歩んで行きたかったと心から思いました。
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そもそもは。
「厨十兵衛」の井出さんが日本酒を特に取り扱うようになった頃。
松本の日本酒居酒屋の黎明期を支えた「よよぎ」…「ぷるーくぼーげん」の大将と同じ、
東京・小山商店や地元の酒屋さんからも買っていましたが、
井出さんは井出さんで東京四ツ谷・鈴傳に出掛けていて、
そこで齋藤さんに出会います。
鈴傳で齋藤さんが見出した酒蔵さんは数知れず…です。
井出さんは長年、齋藤さんと共に日本酒を売って来ているんです。
酔っ払いの記憶違いかも知れないけれど、
井出さん、日本酒本とかを見て幾つかの酒屋さんに出掛けようとしたか、
出掛けたか…
何のツテも紹介もなく飛び込んで行って、
とりあえず送ってもらうことになって、
発送の連絡と共に、すぐにお代金を振り込んで、
それが続いて、鈴傳の女将さんにも気に入られて、
気が付くと、自然と本数が少ないレア酒的なものが入っていたりとか…
井出さんらしい実直さがあってこそ長年に渡って築かれた縁があって、
その中に齋藤さんも、もちろんいた訳で。
訃報を聞いて、どうしても飲みに出たかった。
井出さんと思い出話をしたかった。
お酒を通して齋藤さんと飲みたかった。
お見掛けした事も含めて、2度。
そのうちの1回は、ここ厨十兵衛で。
竹口さんと一緒に来てくれた時で。
ずーっとネット上でやり取りしていたから、
近くにはいないけれど、遠くとも感じない距離感でした。
コロナ禍もあって、
2020年5月30日が松本で飲んだ最後の夜でした。
厨十兵衛にて。
お酒の場、マスクは当然外れている、
道中の電車も怖い…などなど、
次、松本で飲む日が来るのは数年先かも知れないって考えていました。
だいたい1年振りの松本でした。
宮城「宮寒梅」は驚きました。
こんなに綺麗でフレッシュ、
スイートで明るくて美味しいお酒があるんだなぁ、と。
お値段も高過ぎず…むしろお安い印象があります。
齋藤さんに教えてもらった中でも傑出の気に入り具合。
「宮寒梅」、今後どこで購入したら良いんだろうなー…と。
恨むぜ、齋藤さん。探すの大変そうだぞう。
山口「原田」も、また知る由もない銘柄でした。
何でも昨年、緊急事態宣言が解かれた頃に、
井出さんや風林火山・中村さん、須坂の新崎酒店さんで、
この株式会社はつもみぢ蔵へ出掛けたんだそうです。
その際、更に信州とのご縁もあったりなんかして。
「原田」、嫌いな人はいないと思う万能酒。
“無人島に持って行くなら?”って答えに対するアンサーでも良い。
これも復活して後、早いうちから取り扱っておいででした。
「姿」も記憶に新しい。
何度か自分自身でも買い求めましたし、
厨十兵衛によく置いてある印象がありますね。
「原田」が綺麗な雰囲気にまとまったお酒ならば、
「姿」はふくよかな方向性にまとまったお酒。
大のお気に入り酒も始まりは齋藤さんと厨十兵衛から。
「花陽浴」も、「三芳菊」と同じで、
今の雰囲気が固まって久しいですが、
出て来た頃は今の芳しさに振り切ったスタイルではなくて、
香もあるけれど、旨味の勢いあるスタイルだったと思います。
「村祐」もそうだったけれど、
手に入りにくいお酒も「必要だったら用意します」と、
いつも言って頂いていました。
これは…革命君で取り扱いのあったお酒ではありませんが。
個人的に応援している群馬「結人」と、
YOKOさんは井出さんに「おまかせ」でお願いして、
福島「辰泉」から、プリミティブスイートを。
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日曜日の早い時間帯から…と言う事もあって、
客足の出だしは遅く、
ゆっくりと思い出話をする事が出来ました。
お葬式とは、亡くなった方の為でもあるだろうけれど、
残る者の心の区切りの意味もあると思っています。
自分にとって、
この厨十兵衛での夜こそが、それに当たると思っています。
すごく大切な夜でした。
感染のリスクを考え、
自分たちが貰っても行けないし、
自分たちが元になっても行けないし…
逡巡した上で、
今回はどうしても―…って出掛けましたが、
一緒に悩んでくれて、出掛けてくれて、
そんなYOKOさんにも心から感謝しています。
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この数日、思うままに、
いくつか字を書いておりますので、
それを紹介させてください。
「彼が懸命に生きたことを僕らが証明する」
これは「洋酒店 醇」に飾ってあった立川談志師匠の色紙をもじったもの。
「談志に会ったことを証明する」だったっけ。
あれ、違うかな。
ともあれ。
井出さんからのメールにも、
「俺は死ぬまで齋藤さんのことを覚えていることしか出来ないが…」
…と言う事が書いてあって、ボロボロ僕なんか泣いたりして。
人の一生の証明って、
何を成すか…と言うより、誰かの為に何を成したか…なのかなぁって思います。
ご縁があって感謝がある、
だからこそ覚え続けていたいと思う。
心に留めておいてもらえる時間が、人の一生の在り方を示すのだ、と。
「革命君」
これは銘泉集として。
字としてはもっと余白を生かさなきゃいけないけれど、
心の思うままに叫ぶように書きたかった3文字。
「厨十兵衛」
自分と「革命君」を繋ぐもの。繋いでくれているもの。
こちらも銘泉集として書いてみました。
「Roman Revoltion」
革命君唯一の限定酒…と思ったのですが、
「越前岬」などでもありますし、
古くは「勇士槽場汲み」ってシリーズもありましたね。
英字を筆で書くシリーズも試していて、
そちらでも革命君に関わるものを書きたかったので。
2015年1月3日の日付があります。
開店した後に、開店祝いのつもりで送った色紙。
Twitterアカウント、「Shirohige」でしたよね。
だので、漫画「ONE PEICE」に登場する、
白ヒゲ海賊団、エドワード・ニューゲートの海賊旗を模したデザイン。
そして日本酒の蛇の目を合せています。
革命君からの初荷が嬉しかったのでしょう。
字と共に写真を撮っていました。
「革命君から酒来多留」…は「さけきたる」と読みます。
信州小布施・小布施ワイナリーが昔醸していた大吟醸、
「笑う門には福来多留」から縁起の良いものと字を宛がい。
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本当に惜しまれつつ。
…今も惜しんでいますもの。
東京四ツ谷・日がさ雨がさの宮澤さんのツイートを見ても、
本当に偉大だったなぁ、皆が復帰を待っていたなぁって思います。
思い出はいっぱいあるので、
取り留めもなくなってしまうけれど。
「革命君」でTwitterを検索すると、
思い出と言うか…齋藤さんについて書かれている方が多くいらっしゃいます。
取り扱った銘柄を見る度に、
絶対思い出しますよね。この蔵元さんのお酒、革命君で買ったなーって。
最後に、2013年7月26日に自分が書いていたもの。
「不撓不屈」
最後の最後まで、今となったって、
不屈を貫き通した…
なぞらえるなら、雄々しく散った白ヒゲのあの姿と重ねる様に、
きっと決して心は折れなかったろうと想い…。
心からの感謝を込めて、今日はここまで。
ありがとうございました。
ありがとうございました。