信州松本・岩波、信州下諏訪・御湖鶴のクローゼット熟成酒。





信州松本・岩波、信州下諏訪・御湖鶴のクローゼット熟成酒。

気楽なところで、一生懸命…と言う事です。

本日はお酒呑みのお噂を…と言っても、
多く後悔を、いやしかし、今は今の美味しさを…
とても悩ましい事柄を書いて参りますが…
なに、堅ッ苦しい内容ではございませんので、
どうぞ安楽に、しかしお伝えしたいメッセージだけは、
どこか胸の奥に、こぼれない様に収穫して頂きまして、
お付き合い願えればと存じます。

えー、古いお酒になります。
10年以上前のビールも昨今空けておりますが、
ビールも日本酒もウイスキーも、
基本的には、打栓をしてあるものですから、
悪くなる…と言う事はない様に存じます。
賞味期限と言ったカタチ…
「蔵元さんが蔵出し時に狙った味わいの期限」と申しますか、
「この味を呑んで下さいな」と言う、
変化して行くお酒の味わい、摂理の中で、
「この期間は、我らが理想通りですよ」と言うくらいで、
嗜好品ですから、
それを過ぎた方がお気に召す方もいらっしゃれば、
蔵元さんでも「おっ、過ぎた方が良いじゃん」なんて事もあり、
お酒が生き物であると言う側面を、
日々、とても感じている中で、
記念であり、勿体無さもあり、悪癖でコレクションとしてでもあり…
信州SAKEカントリーツーリズムの景品、
大吟醸18本の中の生き残り…です。

もう、今となってはコレクションなんてしないし、
取り置いておくことの罪に気づいたのでやりませんが、
当時は「熟成させたら良かんべ」と、
クローゼットの奥で寝かせてしまっていました。




今回のことで分かったことは、

「熟成酒は目覚めるまで時間がかかる」と言う事です。

素人の官能評価ですから、眉唾だと思って頂いても良いです。
体験として、
口開け当日は、苦味が極端に強く香も弱い印象です。
それを燗につけても、香こそ熟成酒のそれが出る場合がありますが、
苦味は抜けない…と言う状況が、
今回の2本だけでなく、他のものでも共通して起こりました。

開封後に数日経つと、個性も見えて美味しさも感じますが…。

「達磨正宗」などの熟成酒蔵も、
きっとそこには気付いていて、
長期熟成酒は瓶詰前に空気に触れて開くタイミングがあるんじゃないか…
…全くの想像ですが、
(いや、むしろタンク熟成で空気に触れているかも知れない)
ワインでもデキャンタが行われる様に、
「空気に触れさせてからが本領発揮」と覚えておいて頂きたい。

こうした熟成酒、自家熟成なら尚のこと、
大きな期待と思い出の積算の末に呑む事が多いと思います。
その最初のひと口を、少しでも美味しく飲んで欲しくて、
自分の失敗を糧に、こうして書いております。




信州松本・岩波、信州下諏訪・御湖鶴のクローゼット熟成酒。


「信州松本・岩波・大吟醸」

ラベルには「23年3月」とあります。
現杜氏である佐田氏より、前の時代の1本で、
「越後杜氏 田中欣次」とあります。

その当時の他のラインナップの味を覚えていないのでいけませんが、
なるほど、松本の酒、信州の酒と言う雰囲気より、
新潟寄りの淡麗辛口っぽい味わいだと思いました。
年月が経ても軽さを持ち合わせ、
色こそ黄金色になっていますが、強く練れた様な…
ココアや蜜、飴様の香もひそやかで上品さのある状態でした。
基本的にお燗酒にして楽しんでいましたが、
燗にすると、辛さと言うかジンと沁みる部分があって、
肴にも合わせて来てくれる印象です。

この「岩波」の酒銘を揮毫した書道家さんは、
自分のような、入門したての人間が言うのもおこがましいですが、
大師匠に当たる上條信山先生の揮毫です。




信州松本・岩波、信州下諏訪・御湖鶴のクローゼット熟成酒。

「信州下諏訪・御湖鶴・純米大吟醸」

現在は、
「磐栄運送株式会社 諏訪御湖鶴酒造場」となっています。
このボトルは一世を風靡し、その後に色々とあった…
個人的にも色々とあった「菱友醸造」時代のもの。
軽やかさとドライさが印象的でした。
往年の味か…と言うと、
時代として、酸がもてはやされた時代で、
渋みと単に言うよりも、
果実系の渋に近い雰囲気を出すと流行の酒…
…みたいな時代だった様に覚えていますが、
流石に、2011年3月の製造で熟成酒となっていては、
その残滓は見えて来ないかしら…と言ったところ。
これもお燗酒にして頂きましたが、
温めた方が、シンプルな味わいにまとまっていました。





…と、

もうこの世のどこにもないだろう、
10年近い昔に購入したお酒がゴロゴロとあり、
引っ越し時にも捨て切れず、
そもそも人が心血注いで醸したものを捨てるなんて言語道断で…

…ああ、熟成させずにその場で飲んでおけば良かった。
もっと個性を持っていただろうに、と思っています。
どちらのお酒も…
また、これに先んじて開封したお酒も、
どこか熟成の先に近似値に落ち着き始めているんです。
日の光を浴びせはしていなかったからか、
滓(おり)は見られないものばかりでした。

買い物ですから、ボトルをコレクションされることも、
当代、ひとつのご趣味として成立している事ですし、
そう、どなた様、よそ様にも迷惑を掛けませんしね。
でも、それでも今、自分はわりと後悔しています。
もっと美味しく楽しんで飲むことが出来たはずなのに、と。

「笹の誉」「岩清水」のブログを書く際に、
「買い控えている」としたのは、こう言う理由がありまして。

今ある分を、せめて近いうちに、ちゃんと楽しんで飲み干そう!
…と考えています。自分自身で、しっかりと。
お酒自身が、我が家に来たことを悔やまないように。

もし、皆々様もそうしたお酒がありましたら、
もし捨てようとしているならば、せめて料理酒としてでも…
お酒は飲まれる為に生まれて来ているんですから、
せめて使ってあげて頂きたく。

…と、そんなお願いをしながら、
本日はここまで。

ありがとうございました。

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written by SAKESOJA (宗風)