【旅行記2】地酒王国信州を見に行く。
2020/07/27
・
・
気楽なところで、一生懸命…と言うことですが。
「むむ!この酒は…?」と、そうなりましたら――…
ご通家でって方ではありませんね。
この企画展をご覧になった日本酒ファン…なンてところじゃねェかってンですが。
そうした方もいらっしゃいますでしょうけれど、
なかなか古い時代のものでして。
えー…旅行記と言うよりは、
この企画展に行って来た思い出を写真と共に…
もしお気に入りになりましたら、
是非ともお出掛け願えますてぇと幸いです…と言う、
信州地酒の為に、宣伝を致します。
現代の言葉で申し上げますと「ダイマ」なんて言うんですかね。
ダイレクトマーケティング。
コロナ界隈のお遊びが過ぎる訳で、
状況によって…と言う事は往々にして考えられるとは言えども、
一応は8月23日までの催し物となっております。
トークセッション、講演会の企画もございまして、
「地酒王国-信州酒の地域性、自然、未来-」
…をテーマに8月8日に、
「信州の酒文化と歴史・雑学」
…をテーマに8月22日に、事前の申し込みが必要ではありますが…なんてンで。
ひとつ、噺の前に心配なのは、
これをご覧になったからと言って、
「うん、満足!行かなくて良いや!」とならないで頂きたい…
だ、けれども、
お出掛けには細心の注意が必要な現代でありますので、
オススメもし難いので、
“信州地酒、日本酒がんばってますよ!”
“こんな活動もしておりますよ!”…と知って頂きたい一心でございます。
噺の世界を真似て、
冒頭に“まくら”めいてお喋りしておりますが、
今回はほぼ写真ですので、何だか勝手が違いますね。
何はともあれ、旅行記はあらましを終えての1発目、
そう、主目的である“温泉を楽しむ”ことの前に、
いきなり脱線して…しかし、書道においても日本酒の銘柄を書く、
臨書酒林、銘泉集としてシリーズ化して楽しんでいる自分としては、
とても興味があった催し物について、
しばらくの間、一席お付き合いを願っておきますが…。
・
・
「地酒王国 信州」
2020年度夏季企画展
( https://www.npmh.net/exhibition/2020/02/post.php )
・
・
長野県千曲市屋代にある「長野県立歴史館」に到着。
今回の件があるまで、失礼ながら全く存じ上げませんでした。
むしろ長野市の市街地にある…くらいの感覚。
高速道路、更埴I.C.を降りて少し…と言うカタチ。
Twitterでは、姨捨S.A.のスマートI.C.を使う…
…なんて書いていましたが、時間を優先しました。
そして、この企画展を見た後に、
どのみち姨捨S.A.の麓に行くので、北から南に南下しよう…と言う作戦。
フライヤーにもなっている「地酒王国 信州」の看板。
信州信濃に住んでいると日常になってしまっていますが、
これにワインの醸造所、ビールの醸造所、
焼酎は日本酒醸造所で一緒に醸されていたり…
それら地の酒全てを含めるなら、
量ではなく、メーカー数ならば全国一位の酒産国である…はず。
臨書酒林で各県を辿ると、
なるほど、ここまで多い県って少ないんです。そうなんです。
信州の日本酒に関わる展示が為されています。
松本の特徴に「城下町でプライドが高く」と言う文言があり、
松本で育った人間としては、ちょーっと「ムッ」としちゃいますね。
いや、それがプライドが高いって事なのかも知れませんが…。
しかし、古い時代の方に聞くと、
真田氏の城下町で栄えた上田市もそうだと言うし、
資料を眺めると、古い時代はなるほど、
松本より上田の方が栄えていた時代もあって…。
ラズベリーさんや、めしだ嬢には日頃、とってもお世話になっている、
長野市・東飯田酒造店の「おしのさん」ラベル。
「萌え酒」としての側面もありますが、
もともと「おしのさん」も地元のキャラクターなんですよね。
地域とのコラボレーション。
日本酒にはそうした側面もある訳でして。
( https://oshinosan.jimdofree.com/ )
↑篠ノ井おしのさんのページ。
3Dも2Dもあるキャラクターって、わりとレアかも。
東飯田酒造店から出展されているマッチ。
蔵造りで時代の付いた調度品が多くある蔵。
現代において、ほぼ衰退したマッチも、
時代によっては宣伝として…
これは海外もまた然りでしょう。そうした時代もあったんだ…と言う、
貴重な資料。そしてデザインの秀逸さ。
臨書酒林で古いラベルや菰樽を採用するくらいの自分ですから、
もう!大好物!
伊那高遠「仙醸」も出展が多かった蔵と記憶しています。
時代を感じるポスター。
こちらは信州佐久「初鶯」のポスター。
これが巡り巡って、ビールの水着のポスターになって行く…
…と言う認識で良いんですよね?たぶん。
そうした現代との関連性を含んで眺めると、
また面白みが違いますよね。
酒造組合主催で「金紋信州」と言う日本酒を出していたのか…
もしくは広告だったのか。
信州の日本酒ブランドを高める為の古い広告。
通いの酒徳利。江戸時代が主流の落語において、
「一人酒盛」や「猫の災難」に登場している徳利は、
きっとこんなカタチだったでしょう。
「初昇」は現代にはもう伝わっていない銘柄ですよね。
色んな場所で醸されていた「雲山」の中のひとつ、なのかな。
戸倉上山田温泉「坂井銘醸」の出展です。
ん。
この後に行く戸倉上山田温泉「亀清旅館」に、
10年ほど前に泊まった翌朝、自転車を借りて出掛けた、
「坂井銘醸」のものか!!
…とご縁を感じずにはいられませんでした。
メインオブジェとも言える実際の一升瓶と各地の日本酒、酒蔵の図。
個人的には、ここにワインとビールとウイスキーを足して欲しい。
…ワイン特区は、密集しているのでゴチャッとしそうですけれど。
でも、ここそこにワイナリーがある塩尻に住んでいると、
感じるところはありますね。
この写真は大好きな信州中野「岩清水」蔵のラベルを意地でも写したく、
こんな構図になりました。
特級、一級、二級と級別制度があった時代の日本酒のラベル。
仙醸と雲山、宝ヶ池正宗。
これ。これも戸倉上山田温泉の坂井銘醸なんです。
10年前は、このラベルの復刻酒がショップに販売されていましたが、
今はどうだろうなぁ。
今回の旅では立ち寄らなかったので、はてさて。
こちらは上田市・若林醸造「月吉野」の化粧瓶。
現代の観点で見てもお洒落。
現代のシリーズ、
若林真実杜氏のスタイリッシュなラベルシリーズも素敵ですし、
旧来のシリーズ、大吟醸ラベルもお洒落な…
酒質を離れて、そうした観点からも素敵な蔵元さんですね。
「月吉野」を右上から左に流す…と言う字のカタチ。
ありますけれど、あんまり数がない書き方だと思います。
(そもそも正宗など付かない、“〇乃〇”の様に乃を中央に入れない、
3文字以上の銘柄は、少数派ですので)
信州岡谷・「神渡、豊香」を醸す豊島屋さんの十二か月盃。
このサイコロを振って、出た目の盃…大きさの違う盃に酒を注いで飲みあう…と言う、
現代で言えば、パワハラアルハラ待った無しの危険アイテム。
落語「試し酒」にもありますけれど、
「量を飲む」ことそのものが男の権威権力であり、
娯楽だった時代のお遊び、ですね。
「あ、この左の幕、見覚えがある!」と足を止めたもの。
やはり諏訪。
今ではとっても綺麗になってしまいましたが、
信州諏訪「麗人」の蔵併設の販売所…
古い造りの当時もまた10年くらい前ですね。
その頃に掲げられていたもの、だと思います。確かに見覚えが。
酒造に関わる冊子。
これも1ページ1ページ、隅々まで読んでみたい本です。
装丁も洒落ていますね。
「最新清酒速醸法」…と言う本。
現代は、かえって生もとや山廃が増えて来る、
また群馬・土田だけでなく、
自然発酵の取り組み、あえて木桶で醸す…
…なんて速醸だけでなく、
様々な醸造法が取り入れられる時代になっていますね。
こう言う古い資料からも得るものはきっとあるはずで…。
「豊嶋屋(とよしまや)」のポスターとあります。
信州諏訪の「豊島屋(としまや)」の出展。
https://www.kk-toshimaya.co.jp/corporate/enkaku.html
豊島屋さんの会社沿革を見ても「豊嶋屋」についての表記がありません。
明治期の広告で、旧字的な意味合い…なのかしら。
慶応3年から続く企業ですから、先達ての盃もそうなんですけど、
色んな資料が残っていますね。
同様に豊嶋屋。書いてある文字も本当に興味深い。
あれ、今頃気付いたけれど、
慎太郎さんは新一郎の名をいつか継がれるのかしら。
代々当主の名前なんですね。
家系図を知らないので、ふとした疑問なのだけれど。
二級焼酎のラベル。「桜な美」で「さくらなみ」ですね。
紹介には「桜浪」とあったような。
書道で仮名や草書的「桜」の書き方を習っているので、
だいたい分かる!…って思えることが嬉しかったりして。
ただ、謳い文句の「つきぬ〇〇や、つきぬ流乃」…が読めない。
「ナ、ヨorセ」と読むのか、「布」にも見えるし…ぐぬぬ。
ここはもっと勉強せねば、ですね。
ただ、字の空間と連綿からして2文字でなく1文字だと思うんですよね。
あれ。
醸造元「藤井伊右衛門」さん、14代目は長野市長さんだ…。
吉野屋の方…ほほう。
戸倉上山田温泉の笹屋ホテルとも縁故があるのか。
…「笹」かな。すると「ササ」って「酒」の意味もあるから、
「尽きぬ笹や、尽きぬ流れの」は、ちょっと分かるかも。
…と、Twitterに投稿したところ、
噺家さんである三代目東生亭卋樂師匠からコメントを頂きました。
( @seraku_the3rd )
世楽師匠の正字に使われていて、
浅草仲見世の「世」も「卋」と言う画像付き。
ああ、そうか。じゃあ「世」は確定なんだとすると、
言葉が通じないから、他に何か間違えている…?と思いめぐらせると、
続く「や」に見える文字の流れが、
「や」の最終画を、いちばん最初に書いている…
…と言う事に気づきます。
この流れで書く場合、運筆には覚えがあって、
「能」の変体仮名、仮名で用いる「の」が近い。
すると、
「尽きぬ世の、尽きぬ流れの」となり意味が通る。
更には五七五調で、
「尽きぬ世の、尽きぬ流れの、桜な美」と繋がるので、
もう、間違いないと確信しました。
世楽師匠、お体の調子が優れないそうなので、
心配ですが、ご快復を祈念し、
また心からの感謝をここに記しておきたいと存じます。
本当にありがとうございました!
仙醸の古いラベル。
こう言う時代のレトロフォントもたまらなく好きです。
その時代は特別お洒落に仕上げた訳ではなく、
分かりやすさを重視してシンプルに…と言う事だと思うのですが、
今、現代の自分の目にはカッコ良いもの…と移ります。
県立歴史館所蔵の新潟・君の井蔵の名入り、
野尻湖を映した団扇。
団扇も宣伝道具のひとつ。
今だとリチウムイオン電池のUSB充電のポータブル扇風機ですか。
風情が段違い。
こちらの掛け軸、佐久穂町の黒澤酒造に、
信州SAKEカントリーツーリズムで出掛けた際、
その資料館で見たもの…だと思います。
・
・
…と、他にも展示物はありますが、
こうして書く部分としては、この辺りが頃合…
そう“ちょうどお時間”と言うところであります。
各蔵元さんから寄せられたもの、資料になりますが、
かと言って、
平時、蔵元さんで拝見できるか…と言うと、
この機に蔵出しされたものもあるでしょうし、
今だけの機会ととらえて違いないと存じます。
どうぞ、諸々とお気をつけて、ご覧になって頂ければ…
…と言う、宣伝になっておりますと幸いなのですが。
それでは本日はここまで。
次回旅行記…
…そうなんです。実は旅行記の一端になるのですが、
次回は、戸倉上山田温泉街へ至るまでを申し上げます。
どうぞ、また次回をお楽しみに。
ありがとうございました。
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気楽なところで、一生懸命…と言うことですが。
「むむ!この酒は…?」と、そうなりましたら――…
ご通家でって方ではありませんね。
この企画展をご覧になった日本酒ファン…なンてところじゃねェかってンですが。
そうした方もいらっしゃいますでしょうけれど、
なかなか古い時代のものでして。
えー…旅行記と言うよりは、
この企画展に行って来た思い出を写真と共に…
もしお気に入りになりましたら、
是非ともお出掛け願えますてぇと幸いです…と言う、
信州地酒の為に、宣伝を致します。
現代の言葉で申し上げますと「ダイマ」なんて言うんですかね。
ダイレクトマーケティング。
コロナ界隈のお遊びが過ぎる訳で、
状況によって…と言う事は往々にして考えられるとは言えども、
一応は8月23日までの催し物となっております。
トークセッション、講演会の企画もございまして、
「地酒王国-信州酒の地域性、自然、未来-」
…をテーマに8月8日に、
「信州の酒文化と歴史・雑学」
…をテーマに8月22日に、事前の申し込みが必要ではありますが…なんてンで。
ひとつ、噺の前に心配なのは、
これをご覧になったからと言って、
「うん、満足!行かなくて良いや!」とならないで頂きたい…
だ、けれども、
お出掛けには細心の注意が必要な現代でありますので、
オススメもし難いので、
“信州地酒、日本酒がんばってますよ!”
“こんな活動もしておりますよ!”…と知って頂きたい一心でございます。
噺の世界を真似て、
冒頭に“まくら”めいてお喋りしておりますが、
今回はほぼ写真ですので、何だか勝手が違いますね。
何はともあれ、旅行記はあらましを終えての1発目、
そう、主目的である“温泉を楽しむ”ことの前に、
いきなり脱線して…しかし、書道においても日本酒の銘柄を書く、
臨書酒林、銘泉集としてシリーズ化して楽しんでいる自分としては、
とても興味があった催し物について、
しばらくの間、一席お付き合いを願っておきますが…。
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「地酒王国 信州」
2020年度夏季企画展
( https://www.npmh.net/exhibition/2020/02/post.php )
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長野県千曲市屋代にある「長野県立歴史館」に到着。
今回の件があるまで、失礼ながら全く存じ上げませんでした。
むしろ長野市の市街地にある…くらいの感覚。
高速道路、更埴I.C.を降りて少し…と言うカタチ。
Twitterでは、姨捨S.A.のスマートI.C.を使う…
…なんて書いていましたが、時間を優先しました。
そして、この企画展を見た後に、
どのみち姨捨S.A.の麓に行くので、北から南に南下しよう…と言う作戦。
フライヤーにもなっている「地酒王国 信州」の看板。
信州信濃に住んでいると日常になってしまっていますが、
これにワインの醸造所、ビールの醸造所、
焼酎は日本酒醸造所で一緒に醸されていたり…
それら地の酒全てを含めるなら、
量ではなく、メーカー数ならば全国一位の酒産国である…はず。
臨書酒林で各県を辿ると、
なるほど、ここまで多い県って少ないんです。そうなんです。
信州の日本酒に関わる展示が為されています。
松本の特徴に「城下町でプライドが高く」と言う文言があり、
松本で育った人間としては、ちょーっと「ムッ」としちゃいますね。
いや、それがプライドが高いって事なのかも知れませんが…。
しかし、古い時代の方に聞くと、
真田氏の城下町で栄えた上田市もそうだと言うし、
資料を眺めると、古い時代はなるほど、
松本より上田の方が栄えていた時代もあって…。
ラズベリーさんや、めしだ嬢には日頃、とってもお世話になっている、
長野市・東飯田酒造店の「おしのさん」ラベル。
「萌え酒」としての側面もありますが、
もともと「おしのさん」も地元のキャラクターなんですよね。
地域とのコラボレーション。
日本酒にはそうした側面もある訳でして。
( https://oshinosan.jimdofree.com/ )
↑篠ノ井おしのさんのページ。
3Dも2Dもあるキャラクターって、わりとレアかも。
東飯田酒造店から出展されているマッチ。
蔵造りで時代の付いた調度品が多くある蔵。
現代において、ほぼ衰退したマッチも、
時代によっては宣伝として…
これは海外もまた然りでしょう。そうした時代もあったんだ…と言う、
貴重な資料。そしてデザインの秀逸さ。
臨書酒林で古いラベルや菰樽を採用するくらいの自分ですから、
もう!大好物!
伊那高遠「仙醸」も出展が多かった蔵と記憶しています。
時代を感じるポスター。
こちらは信州佐久「初鶯」のポスター。
これが巡り巡って、ビールの水着のポスターになって行く…
…と言う認識で良いんですよね?たぶん。
そうした現代との関連性を含んで眺めると、
また面白みが違いますよね。
酒造組合主催で「金紋信州」と言う日本酒を出していたのか…
もしくは広告だったのか。
信州の日本酒ブランドを高める為の古い広告。
通いの酒徳利。江戸時代が主流の落語において、
「一人酒盛」や「猫の災難」に登場している徳利は、
きっとこんなカタチだったでしょう。
「初昇」は現代にはもう伝わっていない銘柄ですよね。
色んな場所で醸されていた「雲山」の中のひとつ、なのかな。
戸倉上山田温泉「坂井銘醸」の出展です。
ん。
この後に行く戸倉上山田温泉「亀清旅館」に、
10年ほど前に泊まった翌朝、自転車を借りて出掛けた、
「坂井銘醸」のものか!!
…とご縁を感じずにはいられませんでした。
メインオブジェとも言える実際の一升瓶と各地の日本酒、酒蔵の図。
個人的には、ここにワインとビールとウイスキーを足して欲しい。
…ワイン特区は、密集しているのでゴチャッとしそうですけれど。
でも、ここそこにワイナリーがある塩尻に住んでいると、
感じるところはありますね。
この写真は大好きな信州中野「岩清水」蔵のラベルを意地でも写したく、
こんな構図になりました。
特級、一級、二級と級別制度があった時代の日本酒のラベル。
仙醸と雲山、宝ヶ池正宗。
これ。これも戸倉上山田温泉の坂井銘醸なんです。
10年前は、このラベルの復刻酒がショップに販売されていましたが、
今はどうだろうなぁ。
今回の旅では立ち寄らなかったので、はてさて。
こちらは上田市・若林醸造「月吉野」の化粧瓶。
現代の観点で見てもお洒落。
現代のシリーズ、
若林真実杜氏のスタイリッシュなラベルシリーズも素敵ですし、
旧来のシリーズ、大吟醸ラベルもお洒落な…
酒質を離れて、そうした観点からも素敵な蔵元さんですね。
「月吉野」を右上から左に流す…と言う字のカタチ。
ありますけれど、あんまり数がない書き方だと思います。
(そもそも正宗など付かない、“〇乃〇”の様に乃を中央に入れない、
3文字以上の銘柄は、少数派ですので)
信州岡谷・「神渡、豊香」を醸す豊島屋さんの十二か月盃。
このサイコロを振って、出た目の盃…大きさの違う盃に酒を注いで飲みあう…と言う、
現代で言えば、パワハラアルハラ待った無しの危険アイテム。
落語「試し酒」にもありますけれど、
「量を飲む」ことそのものが男の権威権力であり、
娯楽だった時代のお遊び、ですね。
「あ、この左の幕、見覚えがある!」と足を止めたもの。
やはり諏訪。
今ではとっても綺麗になってしまいましたが、
信州諏訪「麗人」の蔵併設の販売所…
古い造りの当時もまた10年くらい前ですね。
その頃に掲げられていたもの、だと思います。確かに見覚えが。
酒造に関わる冊子。
これも1ページ1ページ、隅々まで読んでみたい本です。
装丁も洒落ていますね。
「最新清酒速醸法」…と言う本。
現代は、かえって生もとや山廃が増えて来る、
また群馬・土田だけでなく、
自然発酵の取り組み、あえて木桶で醸す…
…なんて速醸だけでなく、
様々な醸造法が取り入れられる時代になっていますね。
こう言う古い資料からも得るものはきっとあるはずで…。
「豊嶋屋(とよしまや)」のポスターとあります。
信州諏訪の「豊島屋(としまや)」の出展。
https://www.kk-toshimaya.co.jp/corporate/enkaku.html
豊島屋さんの会社沿革を見ても「豊嶋屋」についての表記がありません。
明治期の広告で、旧字的な意味合い…なのかしら。
慶応3年から続く企業ですから、先達ての盃もそうなんですけど、
色んな資料が残っていますね。
同様に豊嶋屋。書いてある文字も本当に興味深い。
あれ、今頃気付いたけれど、
慎太郎さんは新一郎の名をいつか継がれるのかしら。
代々当主の名前なんですね。
家系図を知らないので、ふとした疑問なのだけれど。
二級焼酎のラベル。「桜な美」で「さくらなみ」ですね。
紹介には「桜浪」とあったような。
書道で仮名や草書的「桜」の書き方を習っているので、
だいたい分かる!…って思えることが嬉しかったりして。
ただ、謳い文句の「つきぬ〇〇や、つきぬ流乃」…が読めない。
「ナ、ヨorセ」と読むのか、「布」にも見えるし…ぐぬぬ。
ここはもっと勉強せねば、ですね。
ただ、字の空間と連綿からして2文字でなく1文字だと思うんですよね。
あれ。
醸造元「藤井伊右衛門」さん、14代目は長野市長さんだ…。
吉野屋の方…ほほう。
戸倉上山田温泉の笹屋ホテルとも縁故があるのか。
…「笹」かな。すると「ササ」って「酒」の意味もあるから、
「尽きぬ笹や、尽きぬ流れの」は、ちょっと分かるかも。
…と、Twitterに投稿したところ、
噺家さんである三代目東生亭卋樂師匠からコメントを頂きました。
( @seraku_the3rd )
世楽師匠の正字に使われていて、
浅草仲見世の「世」も「卋」と言う画像付き。
ああ、そうか。じゃあ「世」は確定なんだとすると、
言葉が通じないから、他に何か間違えている…?と思いめぐらせると、
続く「や」に見える文字の流れが、
「や」の最終画を、いちばん最初に書いている…
…と言う事に気づきます。
この流れで書く場合、運筆には覚えがあって、
「能」の変体仮名、仮名で用いる「の」が近い。
すると、
「尽きぬ世の、尽きぬ流れの」となり意味が通る。
更には五七五調で、
「尽きぬ世の、尽きぬ流れの、桜な美」と繋がるので、
もう、間違いないと確信しました。
世楽師匠、お体の調子が優れないそうなので、
心配ですが、ご快復を祈念し、
また心からの感謝をここに記しておきたいと存じます。
本当にありがとうございました!
仙醸の古いラベル。
こう言う時代のレトロフォントもたまらなく好きです。
その時代は特別お洒落に仕上げた訳ではなく、
分かりやすさを重視してシンプルに…と言う事だと思うのですが、
今、現代の自分の目にはカッコ良いもの…と移ります。
県立歴史館所蔵の新潟・君の井蔵の名入り、
野尻湖を映した団扇。
団扇も宣伝道具のひとつ。
今だとリチウムイオン電池のUSB充電のポータブル扇風機ですか。
風情が段違い。
こちらの掛け軸、佐久穂町の黒澤酒造に、
信州SAKEカントリーツーリズムで出掛けた際、
その資料館で見たもの…だと思います。
・
・
…と、他にも展示物はありますが、
こうして書く部分としては、この辺りが頃合…
そう“ちょうどお時間”と言うところであります。
各蔵元さんから寄せられたもの、資料になりますが、
かと言って、
平時、蔵元さんで拝見できるか…と言うと、
この機に蔵出しされたものもあるでしょうし、
今だけの機会ととらえて違いないと存じます。
どうぞ、諸々とお気をつけて、ご覧になって頂ければ…
…と言う、宣伝になっておりますと幸いなのですが。
それでは本日はここまで。
次回旅行記…
…そうなんです。実は旅行記の一端になるのですが、
次回は、戸倉上山田温泉街へ至るまでを申し上げます。
どうぞ、また次回をお楽しみに。
ありがとうございました。