臨書酒林・筑前筑後豊前福岡:9 旭松, 10 池泉, 11 梅ヶ谷にて。
2019/08/21
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気楽なところで、一生懸命…と言うことです。
一昨日に続きまして、臨書酒林シリーズ、書の噺にて、
短い時間ではございますが、お付き合いを願っておきます。
嘉麻市・梅ヶ谷酒造「梅ヶ谷」にて。
嘉麻市の蔵元3蔵で共同開発した酒ゼリー「黒寒梅」、
これは「黒田武士」、「寒北斗」、「梅ヶ谷」の頭文字を1文字ずつ取ったもの。
この広告にあるラベルを参考にしました。
酒銘の由来となっている第15代横綱「梅ヶ谷藤太郎」は、
現福岡県朝倉市出身なのだそうです。
ラベルには唄い文句の様に赤字縦書き表記ではなく、
登録商標の上に篆書体で「酒界之横綱」とあり、
相撲の横綱は関取で、酒造界で横綱を冠する意気込み…
宣伝文句に、説得力を感じさせます。
ちょうどこれを書いた頃に、
録画しておいた「千と千尋の神隠し」を見たので、
梅ヶ谷関のイラストが、どこか「坊」の様にも感じたりとかしないとか。
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八女市・旭松酒造「旭松」にて。
上撰のラベル、菰樽を参考にしました。本来は黄土色?金地の背景。
自分がよく参考にする時代の付いたラベルを持つ酒銘は、
純米「松和」、吟醸「松富」であり、
このデザインを捨て切れずに、酒蔵名でもある「旭松」を主にして、
下部に、それぞれを合わせて配置するデザインで取り組みましたが、
よく収まっている様に感じています。
「旭」の字の「九」は、もっと大きく張り出して書いて良かったですね。
小さくまとまってしまいました。
ところで、信州人としては「旭松」と聞くと
「なっとういち」の飯田市「旭松食品」を想像してしまうのですが、
今、「なっとういち」はミツカン社にブランド譲渡されてしまったのですね。
なるほど、確かにスーパーで見直して来ましたが、
ミツカン社になっており。
現在は、納豆以外の大豆製品で営業されている様です。
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みやま市瀬高町・池田屋「福寿池泉」にて。
あえて「旅」と書きたいと思うのですが、
今回の福岡の旅、福岡の日本酒ラベルを書いて行く中で、
とてもお世話になっているサイトが、「fukusake」さんです。
酒造組合の情報より、丁寧で人の呼吸を感じるものです。
自醸されていない蔵元さんは全国的に少なくないです。
信州にだってあります。
「自醸しない」と言うことは、
「情熱を持って醸しています!」と言う蔵と比べれば、
とてもネガティブに聞こえてしまいます。
しかしながら、
伝統があり、地域に愛された銘柄は、日本酒は、
続けて行くことが出来るのならば、
それまで楽しんで来た方々の愛、恵みのためにも、
自醸しなくても、残っている方が良いんだと感じています。
銘柄が消滅してしまうと、すごく寂しいですから。
土地から誉が、ひとつでも消し去られてしまう…
これは、体験してみるとすごく悲しいことだと分かります。
「fukusake」さんでは、蔵を巡り、
自醸の有無も書きながら、人に触れ、分け隔てなく“人”を書いている印象です。
この池田屋さんも自醸こそされていませんが、
2本の愛されている日本酒が存在するそうです。
本来ならば、そのどちらかを参考にしたかったのですが、
今回は肩張り部分を引き伸ばす形にして、臨書酒林としてみました。
翁のラベルは、字が右端に寄ってしまっているし、
酒塩は料理酒と言う位置づけ。
本来の銘柄を伝えるラベル…と言うにはポップ過ぎて、
少し違うかなー…と思ってしまったため。
でも「福寿池泉」は、良く書くことが出来た方だと思います。
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さて、本日はここまで。
ご覧頂きまして、誠にありがとう存じました。