信州松本「笹の譽」を揮毫するにつき。

SOJA

2021年03月29日 12:00






気楽なところで、一生懸命…と言うことです。

えー…このところ、何ですな…
一層、書に関わる時間が増えました。
悔しい思いを何度もしてございます。
「もっともっと上手くなりたい」と願っております。
するってぇと、それ以外が疎かになるってなァもんでして。
だ、けれども、それが良い。
書に執心し、時に諏訪湖を走り、充実している様に思います。
ある種のきっかけと申しますか、
目標となった「笹の譽」の揮毫について、
一席お付き合いの程を願っておきますが…。




メールをさかのぼってみますと、
2020年12月はじめにお話を頂戴しております。
何となく…12月下旬だと思っていました。
振り返ってみると、
字の形を確定させるまでが12月中で、確定させて書き込んで行った頃合が下旬。
きっと、それがスタート地点と認識しているのでしょう。

10年来のお付き合いがあります、
信州松本市・笹井酒造「笹の譽」蔵の日本酒のラベル、
揮毫させて頂く機会に恵まれました。
たいへんに喜ばしく、また誇らしく。
感謝をまずはお伝え致したい。

コロナ禍…だからではありませんが、
専らSNS上のダイレクトメッセージでやり取りを行いました。
夜な夜な写真を送りつける自分。
その字を見て、希望を言って頂くカタチ。
良い評価を頂いたものをファイリングして溜めておいて、
蔵にお持ちして選んでもらう…と言う手法でした。

毎日半紙課題に取り組んでいる訳ではないので、
週の半分くらいでしょうか。
12月1月、2月の前半辺りは頻繁にメールを送り、
見て頂いて、より良い作品を目指すと言う。

初期の頃の字と後期の字、全く異なります。
笹井酒造さんの希望を受けているとは言っても、
その次元以上に差がある。
何度も何度も書く事で、字が育って行っているんですね。
ダイレクトメッセージをさかのぼってみると、
随分と拙い字が溢れています。
段々と良くなって来る…
今の形に固定しているので、
「まるで自分の字ではないみたい」
…とすら、初期のそれには思ったりするほどに。

字を継続的に書いて行くためにも、
書道とは別に、3つのシリーズを作って取り組んでおります。
酒のラベルを臨書する「臨書酒林」、
創作書体でお酒の名前を表現する「銘泉集」、
毎夜、朝になってYOKOさんに読んでもらいたい言葉を集める「夜の僕から朝の君へ」、
…この3種。ほぼ一発書きに近い制作過程で、
今回の様に念入りに時間を掛けて書作品を作成することは、
ほぼ初めてであったと感じています。

色紙の中には、背景を細かくしてしまって、
切り絵部分に時間が掛かる場合もありましたが、
字に関しては、1回書いて以後の継続性がない感覚で過ごして来ました。

書道教室に通うことで、
字に時間を掛ける術を学んだように思います。
どんな名人上手も素地の上手さはあれど、
1枚の作品を書く際には、何度も何度も繰り返し書いているはず。
「錬成」と言う表現がされておりましたが、
まさに「錬って成す」と言う戦いが書道にはあるのだと知ることが出来ました。

今回の「笹の譽」も、もちろん錬磨創造の末に。
30枚弱を持ち込んだでしょうか。
笹井酒造の皆様に選んで頂きました。

書道的に、また私個人として、
「これが良いかな!?」と言う作品ではない1枚が選ばれています。
ただ、それが「笹の譽」の他のラベルと、
実に親和性のある…ちょっとだけ似た部分がある…そんな1枚が選ばれておりました。
日頃、自蔵の銘柄「笹の譽」を見ているからこその選択に感じます。
自分では、そうした部分までケアできなかったでしょう。
判断を蔵元さんにお任せして本当に良かったと感じました。

今回、常に悩んでいた「譽」の左右払いの重さ。
これ、特に軽い1枚だと思います。
少し踊るような雰囲気があって「良いなぁ」と。
元来の「笹の譽」、どっしりとした「譽」の字の太さがありますが、
今回のラベルの「譽」も、
両払いが軽いからこそ「言」部分の重さが見えて来る構図かな、と思います。

日本酒の銘柄で3文字の場合、多くは2行になります。
1行目に「笹の」で、2行目に「譽」と言うカタチ。
今回は新規ラベルと言う事で、縦1行とのご意向でした。
半紙サイズからも、これを達成することは難しいのですが、
だんだんと字を自分の中に吸収する中で、サイズ感が落ち着いて行き、
結果として良い仕上がりになりましたし、
また、自分自身の経験値にもなりました。
熱心に励み、頑張って取り組んで本当に良かった。

蔵元さんから伺いますには、
純米吟醸生一本の生酒版に張り付けて頂けるラベルとのこと。
販売予定は7月頃までを想定している様です。

お味は「松本に笹の譽あり」の「笹の譽」ですから、
お試し頂きたい味わいだと存じております。
どうぞ、お手に取って頂けますと幸いです。

Sakesoja(サケソウヤ)、雅号は宗風でした。

ご清聴ありがとうございました。
どうも、お騒がせしました。






こうしたお仕事、体験、
お口添えございましたら、賜ります様、
よろしくお願い申し上げます。
精一杯、取り組ませて頂きます。
何分、若輩者ですので、
出来ること、出来ないこととございます。
どうぞダイレクトメッセージにてご連絡頂けますと幸いです。

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