水書って水で書くことだと思っていたけど、思てたんと違う。(松本市・信州書象会主催)

SOJA

2019年12月08日 23:54






気楽なところで、一生懸命…と言うことです。

本日は、いつものお召し上がりものにまつわる噺ではなく、
お酒に関わるものでもなく、
純然と書にまつわる噺でありまして…
至極勉強になった1日を申し上げたく、
また、小学校1年生、2年生のお子様をお持ちの方には、
直近で関わりが、きっと生まれる様な事柄であり、
また日頃、パソコンで文字を見る、活字、
ボールペンなどの字に触れていると、
やっぱり、どこかしらご縁のある内容なのではないかなぁ…
…なんと存じます。

何も講師となってご教示しようなどと言う事はございません。
「こうしたものもあるんだなぁ」と言う、
当日の自分の驚きと感心を、申し上げて出番とさせて頂きます。
最後まで、気を確かに…ごゆっくりとお付き合いを願っておきますが…。







信州書象会の…
自分が所属している欅の森書道会は、
「書象会」と言う郷里の偉人「上條信山」先生を辿り、
その信州にある教室の集まりが、
「信州書象会」となっていて、「ショショウカイ」と読みますが、
こちらが主催するセミナーに出掛けて参りました。

「水書」は「ミズガキ」とも「スイショ」とも読む様です。
冒頭の字も水書用筆で、水書用の布に書いたものです。
書いたそばから、水で書いた文字が乾いて行く文明の利器。



水書アイテム、
筆は講師をお勤め下さった荻田光山先生が開発に携わったもの、
あかしや社から発売されているもの、2種類。
紙は布製と紙製があり、全く書き味が異なります…が、
これは普段、書道で扱っている場合も同様。

でも、何よりまず「これを貰って水書とは、はてな?」と言うスタート地点でした。

来年からの学習指導要領の変更点の中、
小学生、1年生、2年生に対して「水書」が加わるそうです。
実際に筆を持つ、墨で書くのは3年生や4年生から。

…確かに墨は飛び跳ねますし、小さいお子さんには、
油性でこそないにしても、あまり持たせなくないですよね。
じゃあ、今まで通り中学年から高学年で良いんじゃないか…
…って言うと、そうではないんだそうで。

書道上の「硬筆」を見ていても、
そこには自然な字の流れ、伸びなどが存在します。
しかし、世に多く見受けられる活字、
パソコンや本の機械的文字は、字の間隔などの制限があり、
正方形に収まる様に作られていて、
これを現代人は多く目にします。
目にするから覚えます。
それらの字は、字の流れが切れていて、伸びやかなものなど存在しません。
枠の中からはみ出しちゃいますよね。

そうなって来ると、芸術とも考えられる字と毛筆の世界が、
一律のものでしかない…そんな風な意識の変化に繋がって行きます。
字とは本来創造性のあるもので、
「精神の書」とも信山先生の字を前に述べる方もいらっしゃる中で、
学校で教える文字も、
ここは跳ねる、ここは止める…
決まった書法の中でのみの表現に固まってしまう、
本来の字の形が活字に侵食されて、字の美しいカタチ…
長年培われてきた文字が消え行く運命に片足を突っ込んでしまっている…

…と言うことに、現代、実はなってしまっていると言う。

自然で伸びやかな文字とは、字の、線の強弱にあります。
強弱は筆の上下運動に由来します。
ボールペンは0.5mmなんて書いてある通りで、
強く書いても弱く書いても0.5㎜ですよね。
圧力で「力を入れて書いたな」って分かりはしますが、
上下には運動しない。
筆は、筆に柔らかさがあるから、
太くするところで深く…紙に近づける様に沈み、
スッと抜く、早さのある部分では、浅く上方向に動かす。

これを幼いうちに身につけていると、手が覚えていると、
字を書く、字の美しさを知ると言う概念への手がかりが芽生える…
…字にまつわる文化を守る、と言う内容。

すごく参考になりました。
この水書、本当ただの水道水でバッチリ書くことが出来ます。
汚しませんとも。
水も大量に必要でないし、すぐ紙は乾くから…
冒頭の写真も「書いて、スマホを取って、カメラアプリ起動」で、
書いた直後よりも薄くなってしまっています。
1秒2秒じゃありませんが、何枚か用意して、
他の用紙で練習しているうちに消えて、次の準備が出来る…
これ、大人の自分でも楽しいし、
子供さん方も無限お絵かき帳みたいに扱えて、
すごく楽しいんじゃないか…
これなら、筆を扱う楽しさも覚えられるんじゃないか…
そう感じられました。
会場で水書セット500円の販売があり、
当初は「水で書かずに墨で書くから不要」とスルーしていた自分も、
あまりの楽しさに1セット購入しましたし、
中には10セット買って行かれる方もいらっしゃいましたし。

すごく勉強になるセミナー、講習会でした。

定期的にこうしたセミナーは企画されるのだそうで、
「来年も楽しみ!」…と思うも、
どうやら2年に1回くらいの頻度だそうです。
その代わり、来年は信州書象会での展覧会があるんだそうで。

ん…?
それって末席ながら自分も出品するのかな?どうかなぁ。
来年の5月だそうなので、また書きますが。

ともあれ。

こうした内容なので、タイトルで目を惹きつけたく、
ご覧頂いた通りの題にしました。

実際問題、最初は、実物を見るまで、
WEBで見た動画のそれだと思いました。
お外で、筆に水をたっぷりふくませ、
平らなコンクリート部に水で書く様。Tiktokとかにもある感じの。
あくまで動画のそれは、書道パフォーマンスですよね。
それなのかなぁ、と。

まさか書道と同じ所作が出来ると思わなかったし、
目的は上下運動を知ることとは、大きく教育に関わる内容で、
僕にも、また一緒に出席されていた先生方にとっても、新鮮でした。
字が上手くなるのは、ゆくゆくの副産物。
もっと原初であって重要な取り組みです。
字を筆で書くという文化を守ろうとする志を、拝聴しました。


水書って水で書くことだと思っていたけど、思てたんと違う。

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