日本酒「岩清水」MARS 2019 生原酒 Harmonie(アルモニー)

SOJA

2019年06月17日 18:30






気楽なところで、一生懸命…と言うことです。

今日はお酒呑みのお噂、日本酒の噺で一献…もとい、一席お付き合いを願っておきます。

目下、我が家に眠っていた日本酒を率先して開封、
いつ終わるか分からないけれど、新しい日本酒を買い控えております。
引越しを経る中で、
取り置いていた日本酒も、やはり飲まねば…
心血注いで醸したお酒を、ただ置いておくばかり、
飲むことが出来るものなのに、骨董品の様に観賞用にしてしまっては、
実に、甲斐が無いものだと…
これは様々なご意見がございましょうけれども、
自分としては、いたくそう感じたものでございます。

これは信州松本・大信州酒造の田中さんが仰っていた事で、
それが今になって、とても輝く様に思い出されるのですが、
まだ母屋があった頃、今の様な綺麗な売店が出来る前に、
冷蔵庫の中に置いてあった古い古いお酒を買い求め、
それが美味しかったと伝えた時に、
意訳になりますけれど、
「蔵から手を離れて、時間が経ってしまったお酒について言われても、
 なかなか応答しづらい」…と仰るのです。
それはつまり、
蔵元が蔵出しをする時には、最善の状態を意識している…と言うこと。

お酒は生物、常に変化して行く事が自然であるもの。
その定理がある中でも、
やはり企業として、製品を世に出す志として、
出荷に責任を持つと言う社長さんらしい発想に感じました。

自家熟成は確かに自己責任。
けれど、蔵元さんが僕ら飲み手に美味しく飲んで欲しいと、
仕込み、醸し、期待して出荷された日本酒を、
蔵元さんが期待した味通りに飲む事に意義がある様に思うんです。
それに、ようやく気付いた…と言うことで…

…ええ、我が家にあるお酒を、せめて今、少しでも早いうちに、
飲み干してから、新しい日本酒を買おうと決めたのです。


しかしながら。


ブログ「酒 宗夜」を閉じるに当たり、
書いた文章に、昔から頓着が無い自分は、
「まぁいいや」くらいにしか考えていなかったのですが、
ご縁ある蔵元さん、いや、尊敬する友人とあえて書きますが、
この「岩清水」蔵、
先達てブログ化した「笹の誉」蔵の杜氏さんから寄せられた言葉が、
「ああ、ブログを書いてきて良かった」と思わないではいられない、
心に深く刻み込まれる、素晴らしいお声掛けでした。痺れるくらい感動した。

それから、居ても立ってもいられず、
そのおふたりが醸した日本酒に触れたくて飲みたくて…
そうして買って来た1本が、こちらになります。
信州松本、上高地に向かう国道158号線上にある「深澤酒店」で購入しました。






酒名の「Harmonie」は、フランス語の「調和」の意味。
旧来だと「あらばしり、中取り、せめ」の3種で発売されておりましたが、
現在では、
「Soupless」=しなやかさ、やわらかさ、柔軟性、
「Harmonie」=調和、
「Corse」=しっかりとした、コクのあるもの…と言う名付けに変わっています。
酒名…と言うと、ちょっと違うのかも。
ボトリングの符号と言ったところで、
他の「岩清水」のお酒にも付されておりますね。

ハーフマラソン、2本が終わり、
直後の監査も終わり、ひと呼吸…
ようやく大きく息を吸って吐いて、
落ち着いて頂ける頃合になったので、晩酌に。

注いだグラスから立ち上る香は、
白桃、スミレ、蜂蜜、かすかにメロン…
とても清らかな雰囲気、甘い呼吸。

ひとくち飲んでみて、


「うん!」

これは美味しいなぁ、と思い、

「うーん!」

…と唸る。
これは、本当に美味しいぞ、と。
より、口中に溢れる感覚に驚きながら喜ぶ。

「岩清水」の近年の味わいの延長線上にあります。
葡萄果汁そのまま、と言うかカクテル化したと言うか。
シャインマスカットのジューシーさ、イメージ。
カクテル化とは、果汁だけでは美味しくならない…と言う意味で。
果汁にジンやウォッカ、ワンダッシュのビターズなどで調味する様に…、
けれど、この日本酒は、お米だけでビルドされているのだけれど、
完成した複合型飲み物カクテルの要素を踏襲している印象で、それが実に素晴らしい。
果汁そのままより、美味しい…そんなニュアンス。

米のエキスが輝く様な…
甘味はしっかりとあるのだけれど、とても軽く感じる。
香と合っている甘味。
ああ、ちょうどアルモニー(調和)していると言う事なのだろう。
充実している、爽やかさがある、甘味にくどさがない。渋味もない。
果実は、その糖度や渋さのアクセントも個性の味だけれど、
洗練され、調和され…和三盆糖を、メロンなどの爽やかな香で燻蒸したみたいなイメージ。
よほど、市販のゼリーやプリンの方がくどい甘さかも知れないね。

類似のお酒が全く思い当たらない。
福島・自然郷にも、近い鮮やかさがあるけれど、自然郷の方がもう少しだけお酒っぽいかしら。

「岩清水」にある別格と謳いたい美味しさ、
喉に引っかからなさは、たまらなく進む。
飲んでいることを、飲んだ後に気づく…と言う感覚すら…。
美味しいものが喉を通って嬉しくて、
「あ、飲んだんだ」と気づく様な。

YOKOさんに感想を聞くと、
甘いは甘い、香も甘い。
変にワインっぽくなく、スッキリしている…とのこと。
全く淀みなく「とても美味しい」と言う。



日本酒と言う概念、カテゴライズが、本当にどうでも良くなる…と言うか、
岩清水は岩清水の味、岩清水と言う日本酒の味が揺るがず、存在している…と思いました。
よく考え挑戦し実践し…結果を求めて日々の精錬…
杜氏さんの向上心を感じられる味わいでした。



こちら、裏ラベル。

MARSでM、EARTHでEですが、
ちょうど昨晩のFBで、中野市の三幸軒さんが書いてらしたボトルは、
(私信:YOKOさん、三幸軒の五目焼きがめっちゃ食べたいです。大盛りで。)
JUPITERでJ、新商品なんだそうです。

益々、前へ先へ!
進んで行く信州中野「岩清水」蔵の味わいを堪能しました!

…と、ちょうど盃が変わるタイミングで、
本日はここまで。

ありがとうございました。

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