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気楽なところで、一生懸命…と言うことです。
本日は甘味の噺にて、一席のお付き合いを願います。
俗に甘党は酒を飲まず…なんと申しますけれども、
いやいや、そんな事は無い、
身になってしまうので、あんまり食べはしませんけれども、
甘いものは大好物でございまして…。
どうなんでしょうね。
その俗説ね。
落語の方、界隈でよく出て来るフレーズと致しましては、
「俺ぁ、塩を舐めたって五合くらいイケちゃうんだ」
…と言う。酒呑みは塩が好き、酒には塩気、
対義語的に「甘いものは酒呑みに向かず」…なのかなぁー…と、
ええ、至って何の根拠もございませんが。
ふと、同僚さんと話をしていたんです。
「あの…高原通りのケーキ屋さんで、プリンを買って持って行くと喜ばれる」
「ああ、あの」
…と返します。緑の看板ですよね。
「エム、オー、ユーだから、モウ?ムウ?牡羊座ならムウですか?見たことあります」
「ええと、どっちだっけ」
そんな会話をしながら、じゃあホームページがあるだろう…
…と調べてみる、店名は「ムウ」で良いのですが、
出て来る写真が、なかなか美味しそうで、
特に「ポタージュ」なんかは、あまりケーキ屋さんでは見ない雰囲気。
「これは、実に面白そうだ!」と買い求めに走って、その後日談…本編…
…なんて所でございます。
4種類、買い求めて来まして。
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左「ムゥプリン」、右「ポタージュ ド ペーシュ」
ペーシュ、ペシェは桃の意味ですよね。
リキュールやビールで見た字列。
お店に掲げられていた解説には、
「桃とヨーグルトのポタージュ、練乳のブランマンジュ、レモンオイル」とあります。
プリンは柔らかく滑らか。液状的なプリン生地。
クリームがたっぷりと乗せられる事で形状維持している印象。
そんな液感があります。
たっぷりのバニラビーンズが沈んでいて、
小さいサイズながら、満足感がありますね。
重くくどい…と言う訳でもなくて、
甘味も抑えつつ全体が、甘味が苦手なYOKOさんにも好評。
軽やかなクレームシャンティと固形でない分、舌に混ざりこむプリン部が、
美味しい…美味しいし、まとまりある食べ心地。
これは全年齢対応なガトーでありますね。
同僚さんの声、納得。
ポタージュ、ヨーグルト的な酸味は上手にマスキングされ、
かと言って、クリーム的な濃厚感はなくて、
桃をまとうパーツ…主題の桃の良さが引き出されている上層部、
甘味は桃から得て、ダメ押し的に、
底部のブランマンジュが甘いと言う構成が、
何ともスイーツと、ひょっとすると前菜にも適応できそうな、
上品な仕上がりになっていて、白眉です。
しばらくケーキ屋さんに足を運んでいなかったから、
当代ご時勢、流行など分かりませんが、
こう言う味わいのスイーツを、
ケーキ屋さんがお作りになる様になったのですか?
いやはや、凄いなぁ、と。
「ダコワーズ フレーズ」
苺のダコワーズ(ダックワーズ)
この手法は見たことがある…と思う、
生果実とフリーズドライ果実のコンビネーション。
一層、良い苺の香の主張があって、とても良いですね。
アールグレイの風味が、全体を引き締める香として感じられ、
素晴らしいバランスにあると思います。
ダコワーズから香ばしい焼き菓子らしい匂いが漂って来ていました。
香として、食べる前はダコワーズ、
ひと口食べると、苺に満たされて、
食べ終わると、アールグレイが利いて来る。
よく設計されているなぁ、と。
「ショコラ マント」
(チョコミント)
ホームページを見た時に、
ベリー系のエクレア、エクレールが掲載されていて、
「これは食べてみたいなぁ」と思った事も、
今日のきっかけに実はなっていたりします。
同じものは無かったけれど、
チョコレート系のガトーも買って行きたかったから、こちらを。
パーツそれぞれが良いもので出来ている…それが伝わりますね。
ショコラも舌触り、ねっとりとしていて香り高く、口どけも良い。
クランブルショコラもザクザクとした食感があり、
同じチョコレート系のお菓子でも、
エクレールに使われている部分とも芳香に差が設けられていて、
香ばしさ、ショコラフレーバー共に、
同じベースでも差を持って、だからこそ複雑だけれど相関があって、
より相乗効果で美味しく感じられる仕立て…なんて感じます。
他のお菓子にも、そうした雰囲気があるのかしら…
…感じられる気がして、4種だけですけれど、
「なるほど、美味しいお店なんだね!」と言う事は、よく分かりました。
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こう言うシチメンドイ文章を書いておりますと、
シチメンドイ性格である…ってことは、ねぇ、もうご案内でございましょう。
するってぇと、何か書くことにおいて、
一家言、無い訳ではないんです。むしろ、あるんです。そう言うものでして。
和菓子でも洋菓子でも、お菓子造りには何が大切か…
…と考える、
ズブのズブズブ、素人の自分が何を言わんや…ですが、
勇気を出して言ってみたいと思います。
「塩気」だと思うんです。
だからこそ「料理であること」だと思うんです。
きちんと塩を使う…味を組み立てるケーキに交換を持ちます。
もう今は遠く離れてしまった感があるけれど、
かの「洋食厨房Spice」においても、
塩の使い方が上手で、スイーツに関しても、
酸と塩の旨味の違いが、よく出ていて、使いこなされていて、
とても印象が良かった記憶で溢れています。
砂糖類、クリーム類を濃くし過ぎてしまう…
それが素材感ではなく、たっぷり使えば良い訳ではなく、
適度な塩加減のバランスによって、
美味しいスイーツは組み立てられる…と思っていて。
つまり「塩梅」が良いと言うことです。
今回、試してみて、思ったんです。
こう言うお店が塩尻にもあるんだなぁ、と。
ちゃんとした“お料理”がそこにあった。